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発露。
日々感じたことをありのままに。 気ままに送る日記的不定形メモ。 漫画について語ったり萌を語ったり。
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昨日の手塚誕生日に描いたやつ。




漫画もどきになっている最後の一部分。
全部みてやんよ!という奇特な方はこちらから↓
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一緒に茶屋とかに行ってあげてた娘に女装して会いに行く酷く性格の悪い仙蔵の話。















白粉を叩いた顔に仕上げとばかりに紅をひく。

鏡にうつる姿は女そのものであった。
唇をなぞるように触れた小指をそのままに仙蔵は鏡の中の己を見つめた。

(愚かだ)

不意に込み上げる笑い。
それは侮蔑や嘲りを含んでいた。
す、と着物の裾が乱れぬように気をつけながら立ち上がり、笠を被る。
黒く長い艶やかな髪をさっと払い整えるとぽつりと呟く。


「さて、やるか」






「仙蔵。君、随分なしうちをするね」

情けなく下がった眉に口元。呆れた顔をして伊作が声をかける。

「何が?」

振り向き様に微笑んで見せた仙蔵にどきりとした。
片側だけあがった口の端。

「あの娘、悪くないと思っていたんじゃないのかい」
尋ねる伊作に可笑しそうに笑う。

「別にあの娘のことなんてなんとも思ってないさ。媚びる声色に苛立ちこそ感ずれど」

肩にかかる髪をかきあげる。そのまま手にした手ぬぐいで唇の紅を拭い去った。
手ぬぐいを放るとその指で伊作の頬に触れる。

「醜く白粉を塗りたくった女子など。私のような最低な男の模した女よりも醜い女子になど女としての価値など有りはせん」

白い指先が触れた肌から寒さを感じてえもいわれぬ感覚に伊作の背を汗が伝った。
夏祭り~



可愛いな…しゅーすけ…



文仙でも描きたいけどあの人達難しい…


この夫婦は年期はいってるからな´▽`



文仙












異様なほど静かな廊下を歩く。
何事かあっただろうか。だが、俺が何事も感じていないのにそれはないだろう。
いろいろ歩いて仙蔵を探した。
作法の穴掘り小僧の生み出す穴による迷惑と無駄な予算の使われ方について一言申すつもりだった。

医務室に立ち寄る。

「伊作。仙蔵見なかったか?」



扉を開ける。

中にいた伊作が信じられないという表情で見ていた。
なんだ?何が言いたい?


「お前ってやつは…」



こいつにお前なんて呼ばれるのは珍しい。
特段怒らせることをした覚えもないので不快そうな顔でみかえす。

「それより仙蔵は」
「仙蔵なら死んだよ」


被せるように伊作が答えた。


「は?」



理解できない言葉を聞いた気がする。
伊作の顔に表情はなかった。

「仙蔵は死んだ」


じっと伊作が見つめる先に目をやると仙蔵が横たわっていた。
何故扉を開けた瞬間に気づかなかったのだろう。

「寝てんのかよ。おい仙蔵」


どうせふざけてやがるにきまってるこいつら。そう思って仙蔵に呼びかける。

「死んだって言ってるだろう!」


声を荒げた伊作に不覚にも少しだけびびった。空気の振動が伝わった。

ただ奴は少しおかしくなったようだ。

伊作が先程から繰り返す「仙蔵は死んだ」。そんなのおかしい。

だって仙蔵は今この目の前で息をしているのだから。

「何言ってんだ。生きてるだろうが」


呆れたようにそういえば睨まれた。


「用があるんだよ。早く起こしてくれ」

様子が変な伊作に苛立ちながら言う。
伊作ははぁ、とため息をついて下を向いた。


「仙蔵は死んだよ。この世界で終わりを迎えたんだ」
肩から流れる黒髪を撫でながら伊作は言葉を紡いだ。
気がつけば、いつの間にか医務室はなにもないがらんどうな部屋に変わっていた。

「再び息をする方法はだだ一つだった。だけどそれももう叶わない」



伊作の眉間に皺がよる。

ぽたりと涙が仙蔵の目尻に落ちて伝い、まるで仙蔵が泣いているようだった。


「君が殺したんだ」




頭のおかしい伊作が何かほざいている。
苛々とした感情が沸き立ち、床の上布団に横たわっている仙蔵を蹴りあげてみた。
ゆらっと衝撃で身体は揺らいだが仙蔵はうんともすんとも言わなかった。
いつもの悪態はどうした?

ぎしりぎしりと天井の軋む音がする。

ふと気がつけば水の中にいた。


こぽりと仙蔵の口から空気が零れた。

「生きてる」と言おうとしたら口内に水が侵入し、同じようにこぽりと空気が零れた。


伊作は水の中確かな声で言った。




「必要なのは君の愛だった」
留伊


















「あ、痛い」




僕はどうやら道に転がる飴玉に躓いたようだった。

甘いはずのそれは何故か苦い匂いがした気がする。
ころりと転がる飴玉はそのくせまるくなくて不整形。


「僕達みたい」

と振り返って笑ったら留三郎が渋い顔をしていた。
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