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発露。
日々感じたことをありのままに。 気ままに送る日記的不定形メモ。 漫画について語ったり萌を語ったり。
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願い事はあるのか、と聞かれたから私は無言で奴の心臓あたりを指差した。

「殺してぇって?」

ふっ、と笑いながら文次郎が両手を広げて見せる。おいでおいでと招かれたかのように、私は文次郎の元へ歩み寄り、指し示した指先でそのままに身体に触れた。
ちょん、と触れた人差し指が服の下の皮膚の更に下にある筋肉の厚みを伝えるようだった。

「誰が殺したいと言った?」

口元に笑みをのせ、愛おしさを声色にのせて。

「私はお前の命が欲しい」

告げると文次郎はさも不思議そうに顔をしかめた。

「やっぱり殺してぇんじゃねぇか」

呆れたようにガシガシと頭をかいた文次郎が胸に触れた私の人差し指を握る。
そうではなく…、呟いて見上げた空は生憎雲に覆われて月の影も朧である。
落ちて来そうな星の光は霞のような雲の間を擦り抜けることも適わぬらしい。

私の視線を追った文次郎も、「暗い空だな」とぽつりと漏らした。

暗い、そして静かな夜だ。

明け方には雨でも降るのか蛙の声は引っ切り無しに聞こえてはいる。けれども、静かな夜だ。

「文次郎」

「ん?」

「私はお前に生きていて欲しいんだ」

意味を解さないような間抜け面が可笑しくて、それでも何故か愛おしい。

「勝手に死んでくれるなよ」

無言で私をしばらく見つめて、ため息をついた眉間の皴が深くなる。
ぽん、と私の頭に手を乗せて空を仰いだ。

「重てぇなぁ」



普段より柔らかく感じる奴の声が、謡うような蛙の声に紛れていった。
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